権藤優希の読書手帖

株式会社シーマネジメント代表、「ごん×櫻井のモテモテ塾」主宰を務める傍ら、読んだ本を中心に日常を書いています。

【本】〈旭山動物園〉革命 夢を実現した復活プロジェクト(前編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

今回紹介する本は、小菅正夫(こすげ まさお)さん著書、

“〈旭山動物園〉革命 夢を実現した復活プロジェクト”

です。

 

参考:

小菅正夫 プロフィール|講演会・セミナーの講師紹介なら講演依頼.com



獣医師、北海道大学客員教授

日本で最も最北端に位置する動物園、北海道・旭川市旭山動物園でかつて園長を務められました。

 

1996年に来場者数が過去最低の26万人にまで落ち込み、一時は閉園の危機にさらされた旭山動物園

ですが、著者をはじめとする多くの関係者が懸命に努力された結果、2004年には過去最高の145万人を記録したそうです。

 

本書には、旭山動物園がこのような ”復活” を遂げるまでのエピソードと、著者の思いが綴られています。



印象に残った内容と感想をお伝えします。

 

予算がなくても、アイデアを出す

来場者数の減少が止まらず、旭山動物園の存続が危ぶまれていた頃。

旭川市から大きな予算がつくこともほとんどないままで、著者はどうすれば来場者数を増やせるかを考えなければならなかったそうです。

 

著者ら動物園のスタッフたちは、必死に知恵を絞ってアイデアを出し、動物たちをより魅力的に見せる展示方法を形にしていきます。

 

いま振り返って、不遇の時期に意味があるとしたら、お金はなかったけれど、動物園についてじっくりと考える時間が与えられていたということだと思う。市から、「予算がついたから、つくりたいものを何でもつくってくれ」と言われて、思いつきでつくったとしても、いまのようにはなっていないだろうなという気がする。(本書p47より)

 

こうして、ペンギン、アザラシ、ホッキョクグマなどの動物たちが生き生きと活動する姿を見られる、当時としては画期的な施設を次々にオープン。

著者たちが必死になって考えたアイデアが、集客アップにつながったといいます。

 

大事なのは、予算の範囲内で、いかに工夫をするかということだ。(本書p89より)

 

共通の認識を持ったら、あとは考えさせる

新しいアイデアを発想するにあたり、著者は動物園のスタッフたちと、ある共通認識を持つことを徹底されたそうです。

その認識とは、「動物園とは何をするところか」という動物園の存在意義についてです。

 

著者は、動物園には次の4つの役割があるといいます。

・動物たちと楽しく過ごす「レクリエーションの場」

・動物たちを保護したい、動物たちの環境を守りたいという意識を育てる「教育の場」

・希少な動物の保護や繁殖を担う「自然保護の場」

・野生動物医学などの「学術研究の場」

 

来場者数を増やすためのアイデアを出す前に、まず最も大切な原則となる「動物園の役割」を、飼育係のスタッフたちと共有する

この原則に基づいて、スタッフたちにもアイデアを考えてもらったといいます。

 

こうした「動物園に携わる者としての基本スタンス」は、(中略)徹底し、確認している。極端にいえば、その基本に関して、飼育係が共通認識を持っていれば、あとはそれぞれの飼育係に考えさせる。それをうまく動物園づくりに生かしていけばいいのだ。(本書p23より)

 

考える、という仕事

本書の内容から、「考える」ということはひとつの大きな仕事であると私は感じました。

 

私は毎朝、具体的なタスクに取り掛かる前に、考える時間を意識的につくっています。

どうやったら目標を達成できるのか。

今日1日の行動計画は、目標に対して効果的かどうか。

考えて、思考を整理してから、仕事に取り掛かります。

 

また、チームで仕事をする場合は、同じチームの人にも考えてもらう場面が出てきます。

そのときは、目的や意図などの重要な事柄のみ共有して、具体的なやり方は各々に考えてもらいます。

 

考えるという行為が人間を人間たらしめる、と言うとやや大げさかもしれません。

ですが、懸命に考えることがその人の成長、さらには組織の成長のきっかけになり得るのではないでしょうか。

 

苦しい状況の中で、動物園の存続を願って必死に考え抜かれた著者や旭山動物園のスタッフの方々には、尊敬の念に絶えません。



後編に続きます。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

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【本】無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語(後編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

前回に引き続き、竹之内教博(たけのうち ゆきひろ)さん著書、

“無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語”

を紹介します。

 

※前編はこちら

gonbook.hatenablog.com



後編では、前編で少し触れた「仕組み化」について、より詳しく見ていきます。

 

任せるなら、8割でいい

著者は、りらくるの1号店をオープンする時点で、すでに多店舗展開を考えていたそうです。

 

多店舗展開をするためには、自身がお店にいなくても運営が成り立たないといけない。

そのために、10割の売上を目指すのではなく、8割でいいと割り切る考え方が重要だと述べています。

 

私が店に出ていたら、それぞれのお客様のケアなど、店で必要なことに臨機応変に対応できるため、10割の売上を達成できるかもしれません。ですが、それでは私はその店から抜け出すことができず、多店舗経営の指揮に当たれません。(本書p73より)

 

店の業務を誰もができるように仕組み化し、8割の売上を目指すことが、多店舗展開のポイントのようです。

 

仕事の流れを徹底的に見つめ直し、分解することで、仕事中の無駄な動きを減らし、売上の立つ動きを誰でもできるようにマニュアル化するのです。

それができれば、経営者がいなくても8割を売り上げてくれるお店になるはずです。(本書p76より)

 

仕組み化の4項目

「8割でいい」と著者が考えるようになったきっかけは、りらくるを立ち上げる前、著者が美容師として働いていたときに遡ります。

 

美容師として働き始めてわずか1年半で店長に昇進した著者。

当時は任されていた1店舗の経営に必死だったため、お店を増やすなんて考えられなかったそうです。

 

そんな中、チェーン展開する他のお店を見学して、適度に力を抜いて経営していることに気づいたと述べています。

 

10割全力で店舗を増やせないのだったら、店舗を増やさないか、10割を止めるかのどちらかしかありません。

多店舗経営者たちは8割の道を選んでいたのです。注ぎ込む力も8割なら、売上も8割。そんな経営です。(本書p122~p123より)

 

その後、5店舗の統括を任された著者は、多店舗を8割で運営していくために、仕組み化を強化されたそうです。

 

① 優秀な人(スタッフ)がやっている作業を掘り下げて分解する。

② その中から、他の人とは違うことをして売上アップさせている部分を見つける。

③ 見つけた部分を誰でもできるルールにする。

④ それがやれているかのチェックができるようにする。

(本書p127~p128より)

 

こうした仕組み化の徹底は、著者が現在手がけられている多くの事業で活用されているといいます。

 

私は仕組み化を導入するようになってからは、その人ができないのはその人が悪いのではなく、うまく仕組み化できていない自分が悪いのだと思うようになりました。

働く人がうまく機能するように仕組み化することは経営者の責任であると思っています。(本書p133より)

 

働き方が異なれば、考え方も異なる

世の中にはさまざまな働き方があります。

 

手に職をつけ、自らのパフォーマンスで10割の成果を出したいという方もいらっしゃるでしょう。

自営業の方の多くはこういった発想をされるのではないでしょうか。

 

一方で、8割でいいので多くの店舗を展開したいという、著者のような人もいらっしゃいます。

経営者やビジネスオーナー独特の発想ですよね。

 

どちらも素晴らしいことですし、どちらかが正しくてどちらかが間違っているということではありません。

大事なのは、働き方が異なれば、考え方も異なるということだと思います。

 

自分自身が身を粉にして働くのか。

あるいは、多くの人と手を組んで、自分がその場にいなくても売上が上がるように仕組みを整えるのか。

考え方の違いは、働き方の違いから生じているのですね。



著者が仰っている「8割でいい」とは、決して手を抜いていいという意味ではないと思います。

 

仕組み化を進めることで、業務に再現性を持たせる。

それによって会社の利益を追求し、社員の生活を守る。

すなわち、より多くの人が豊かになれる可能性を、著者は提供されているのではないでしょうか。

 

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【本】無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語(前編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

今回紹介する本は、竹之内教博(たけのうち ゆきひろ)さん著書、

“無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語”

です。

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※出典:プロフィール | 株式会社T'sインベストメント



株式会社T'sインベストメント会長。

2009年にリラクゼーションサロン「りらく(現りらくる)」を創業され、7年で600以上もの店舗を展開されます。

現在は、飲食店やECサイトなど10以上の事業を手がけられています。

 

本書には、りらくるや様々な事業の立ち上げにおける著者のご経験がありのままに綴られています。

事業を拡大させるためのノウハウや、より大きな結果を収めるために必要な考え方を学べる1冊です。

 

徹底的に真似をする

りらくるを開業するにあたり、著者が大切にされていた考え方が「成功しているものを真似ること」。

著者が通っていたマッサージ店が流行していたことからヒントを得て、そのお店をモデルにして、りらくるをオープンされたそうです。

 

誰かが成功した商売を真似するということに抵抗感のある人もいるでしょう。しかし、世の中にあるビジネスはそのほとんどが、すでにある何かの真似なのです。(本書p23より)

 

著者は、成功している前例があるのなら、それを真似できれば同じように成功できる可能性が高いと述べています。

さらに、真似できるということは、仕組み化することで多店舗展開がしやすいということを意味します。

 

人の努力でしか集客できないような属人的なものではなく、仕組み化すれば誰でも簡単に店を回すことができる、横展開のしやすいビジネスモデルでなくてはいけません。(本書p142より)

 

再現性のあるビジネスモデルを見つけて、自らも成功するために徹底的に真似をする

この大切な考え方を、著者はTTP(徹底的にパクる)とも表現されています。

 

やり方も、やる量も真似る

著者が「真似をすること」の大切さを実感されたのは、中学生のときだったそうです。

 

当時、学業の成績が低かった著者は、学年トップになろうと奮起して、優秀な同級生に勉強法を尋ねます。

 

私は、いつも学年トップの成績を収めている加藤くん(仮名)を観察しました。

(中略)

加藤くんにどんな勉強をしているのかと聞いてみました。すると加藤くんは、実は学校以外で毎日5時間勉強しているのだと教えてくれたのです。

(中略)

真似たのはそれだけではありません。加藤くんが使っている問題集と同じものを買い、彼が英語の教科書をまる覚えしていると聞けば私もそれを実践しました。さらに教科ごとの勉強の仕方まで事細かに聞いては真似をしたのです。(本書p88~p89より)

 

毎日5時間、聞いた通りの勉強法を実践された著者は、半年後に学年トップの成績を収めらたそうです。

やり方だけでなく、圧倒的な勉強時間すなわちやる量も徹底的に真似たことが、結果に結びついたのですね。

 

こうして中学生の私は、

「一番になる方法は、一番の人が知っている」

ということを知り、

「一番になる方法を知るには、一番の人に聞くのが早い」

ということを身をもって体験し、

「一番になりたければ、一番の人の真似をする」

という、至極当たり前ではあるけれど、実は誰もがやらないことを身につけたのです。(本書p89~p90より)

 

誰にでもできることを、誰もがやらないくらいやる

徹底的に真似をするという著者のメッセージは、私が事業をとらえるなかで学んだことと似ているなと思いました。

 

私がお世話になっている、とある女性の経営者は、いつも「誰にでもできることを、誰もがやらないくらいやる」ことが成功の秘訣であると仰います。

 

私には、新しいビジネスモデルを創造する力はありません。

メンターから教わったことを徹底的に真似したり、また1日に40件以上の商談をこなすなどの圧倒的な量、ハードワークで成果をつくってきました。

 

前例があって真似ができるということは、本当に有難いことだと感じています。

真似できるということは、どんな人にも成功を手にする可能性があるということなのだと私は思いました。

 

 

続きは、後編にてお伝えします。

 

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【本】0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方(後編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

前回に引き続き、カーリング元日本代表・本橋麻里(もとはし まり)さん著書、

“0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方”

を紹介します。

 

※前編はこちら

gonbook.hatenablog.com



前編では、新チームの立ち上げにかける著者の思いを中心にお伝えしました。

 

後編では、著者が新しいチームをつくりたいと思うようになった背景から、著者が理想とする人生観に注目します。

 

女性としての人生を大切にしなさい

著者が高校生だった頃、恩師にあたる人から「女性としての人生を大切にしながら、カーリングに真剣に取り組みなさい」と言われたことがあったそうです。

 

そして、2010年バンクーバー五輪でのこと。

2006年トリノ五輪に続き連覇を果たしたスウェーデン代表の女子チームに、著者はある衝撃を受けます。

 

スウェーデン代表の女性メンバーは全員、結婚と出産を経験されていたのです。

なおかつ、ディフェンディングチャンピオンとして連覇を達成しました。

 

4年に1度ではなく、女性としての人生をトータルにとらえたチーム。

そんなスウェーデン代表のようなチームをつくりたいという思いが、著者の中に生まれたのだそうです。

 

そのときふと、(中略)「女性としての人生を大切にしながら、カーリングに真剣に取り組みなさい」という言葉が浮かびました。

ああ、こういうことなのか――。

競技も、恋愛や結婚や出産といった女性としての喜びも、どちらも真剣に追うからこそ、どちらにも良い影響を与えていて、カーリングに左右されない人生が楽しく、豊かなものになっているのだ――そう自分なりに解釈しました。

カーリングが人生なのではなく、人生の中にカーリングがある。(本書p70より)

 

子育てから学んだこと

2010年に新チーム「ロコ・ソラーレ」を立ち上げた後、著者は2012年に結婚、2015年には出産を経験されています。

 

育児とカーリング競技の両立は大変でしたが、それ以上に楽しかったと綴っています。

 

最初は「子供がなかなか言うことを聞いてくれない」と感じていた著者。

徐々に、「だけど赤ん坊に対して、母親の都合で言うことを聞かせようとするのは、こちら(自分)のわがままかもしれない」と、育児を通じて相手の立場で考えることの大切さに気づいたといいます。

 

チームや個人にミスが出た時に、あの選手にはすぐに伝えてあげたほうがいいだとか、少し寝かして明日ならしっかりした議論ができるとか、タイミングを意識するようになったのは、子育てをしてからかもしれません。(本書p104より)

 

 

迎えた2018年の平昌五輪では、ロコ・ソラーレが日本カーリング史上初となるメダルを獲得されました。

 

そして著者は現在、カーリングに取り組む人たちの人生の選択肢を増やすため、一般社団法人の代表理事として活動されています。

 

特に女子カーラーは結婚、出産を経験しても、次は家族と一緒にこうしてカーリングの国際舞台に戻って来ることができる。そんな選択肢が当然のような環境を整えるのが、私の次にやりたいことかもしれません。(本書p109より)

 

人生の軸を持つ

0から新チームを立ち上げてメダルを獲得されただけでなく、カーリングに取り組む人々の選択肢を増やそうと新たなチャレンジを続けられる著者の姿勢には、私も心を打たれました。

 

性別の違いだけで一概に言えることではないかもしれませんが、著者が仰るように、特に女性にとっては結婚や出産という大きなライフイベントがあるかと思います。

 

カーリングは人生を豊かにするツールではあるけれど、決して私の人生のすべてではない。(本書p49~p50より)

 

自分にとってカーリング競技は大切なものだけど、競技に自分の人生が振り回されるわけではない。

大事なのは、決してぶれない自分の人生の軸をしっかり持つこと。

自分はこうしたい!という理想を描くことが、その人生を実現するためのファーストステップなのですね。



女性に限らず、何か熱心に取り組んでいることがある方にもお読みいただきたいと感じた1冊でした。

 

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【本】0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方(前編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

今回紹介する本は、カーリング元日本代表・本橋麻里(もとはし まり)さん著書、

“0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方”

です。

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※出典:本橋麻里Mari Motohashi (@MariMotohashi1) | Twitter

 

女子カーリングチーム「チーム青森」の一員として、2006年トリノ五輪、2010年バンクーバー五輪に出場。

 

2010年の夏には、地元の北海道で新チーム「ロコ・ソラーレ」を立ち上げ、2018年平昌五輪で銅メダルを獲得されます。

その後、同チームを一般社団法人化され、現在は代表理事として後進の育成に力を注がれています。

 

本書は、著者のご経験をもとにチームづくりやコミュニケーションにおいて大切なことを学べる1冊です。

 

私は特に、新チームの立ち上げのエピソードに感銘を受けました。

主にその内容を中心に、感想をお伝えします。

 

コミュニケーションの強いチームをつくりたい

トリノ五輪では7位、バンクーバー五輪では8位という結果を残したチーム青森

全力は尽くしたものの、満足のいく結果ではなかったと著者はいいます。

 

また、当時の心境を次のように振り返っています。

 

4年に1度の出場機会を逃すわけにはいかない。

周囲からの期待がプレッシャーとなり、いつしかチームメンバーどうしで意見をぶつけ合うことを恐れ、省かれてしまったコミュニケーションがあった、と。

 

そして、著者はお世話になったチーム青森を離れ、出身地である北海道常呂町(現北見市)で、新チーム「ロコ・ソラーレ」を立ち上げられました。

 

ロコ・ソラーレは、「長い時間をかけてもいい。遠回りでも、強いコミュニケーションをつくって、4年に一度に振り回されないグループをつくりたい」という思いで結成されたチームです。(本書p94より)

本音で話すことで起こる意見のズレは、時間がかかっても最後にはポジティブな場所に着地します。強いグループを形成するためには、崩してまた組み立てること。遠回りでも一度、ぶつかること。それを繰り返すほかないと信じました。(本書p82より)

 

勝敗だけに強く縛られていたチーム青森時代に著者が忘れかけていた「自分はどうしたい?」という気持ち。

この思いが明確になったとき、0からチームをつくる決断をされたのです。

 

思いに賛同してくれる理解者の存在

ロコ・ソラーレの立ち上げにおいて、スポンサーを探すという課題が立ちはだかります。

 

ロコ・ソラーレはコミュニケーションを重視し、かつ地元の常呂町に愛されるチームで、勝利は二の次…。

こう説明するのはいくらなんでも正直すぎるのではないかと、不安があったことを著者は打ち明けています。

 

しかし、そのような著者の思いに共感を示す、ある医師の男性が現れます。

この男性は現在もロコ・ソラーレをサポートされているそうですが、当時、著者にこうお話されたそうです。

 

「俺は、次のソチ五輪に出て終わり、そんなチームにはお金を出したくない。新しくつくるんだったら、地域に愛され地域を元気にするようなチーム。それになってくれるんだったら喜んで協力させてほしい」(本書p86より)

 

この体験がもととなり、著者はまっすぐに思いを伝えることで、多くのスポンサーの協力を得られるようになったといいます。

 

チームビルディングに必要なのはまっすぐに目標を伝えたうえで、それに賛同してくれる理解者なんだと、私は(中略)学んだのです。(本書p87より)

 

のちの平昌五輪で銅メダルを獲得することになるチームは、何もないところから、著者の率直な思いが源となって生まれたのですね。

 

まずは仲間をつくる

ある目標を成し遂げたいとき、同じ思いを持った仲間を探してチームをつくることは、とても効果的だと私も思います。

 

例えば、漫画「ONE PIECE」の主人公ルフィも、まず海賊王になるという目標を掲げて、次に仲間探しから始めていますよね。

 

思い返せば、私も事業を立ち上げて独立する前は、チームづくりから始めました。

 

チームづくりで培ったコミュニケーション能力、リーダーシップ、スケジュール管理の能力は、そのまま事業運営に活かせます。

そして何よりも、土台のないところから結果を生み出した自分自身に対して、強い確信を持てるようになります。

 

カーリングで、0からチームをつくられた著者の信念には、私も心を揺さぶられました。

 

ゼロは最強です。アイデアと体力さえあれば、何でも生み出すことができる。

0から始めることができれば、理想の10に向けた1をつくれると私は思っています。(本書p9より)

 

 

後編では、著者が理想とする人生観に注目したうえで、あらためて感想をお伝えします。

 

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【本】若さに贈る(後編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

前回に引き続き、故・松下幸之助(まつした こうのすけ)著書、

“若さに贈る”

を紹介します。

 

※前編はこちら

gonbook.hatenablog.com

 

後編では、本書後半から印象に残った内容と感想をお伝えします。

 

責任が重いのは、価値が高いから

ひとは成長するにつれて、だんだんその責任が重くなっていきます。(中略)あなたも、しだいに高い地位につかれるでしょうが、そうすると、それだけ責任が重くなっていきます。(本書p182より)

 

「責任」という言葉に、皆さんはどんなイメージを抱かれるでしょうか。

社会人としての経験から、責任が重いとか、プレッシャーだとか、ややマイナスな連想をされる方もいるかもしれません。

 

しかし著者は、責任を負うことこそが人としての生きがいであると強調します。

 

ひとは、もともと責任を問われるところに、ひととしての価値があるのだと思います。責任を問われることが大きければ大きいほど、それだけ価値が高い、ということがいえましょう。ですから、責任を問われるところに、生きがいもあろうというものです。(本書p182~p183より)

 

もしあなたが責任の重い立場にいるなら、それはあなたの価値が高いから

そのように自覚すると、責任というものを前向きにとらえられるのではないでしょうか。

 

発する言葉を選ぶ

著者は、新社会人や学生に向けていつも次のような話をしていたそうです。

 

あなたが新しい職場に初めて出勤したとします。

その職場の感想を誰かに聞かれたら、あなたは何と答えますか。

 

「期待はずれだった」と答えるのか、それとも「期待以上にいい会社で、入れてよかった」と答えるのか。

この答え方次第で、これからの仕事に対する姿勢が大きく変わってくると著者は述べています。

 

もちろん、そういったからといって、勤め先が一から十まで結構ずくめであろうはずはない。しかし、ものごとは、ひじょうによいといったときと、まあ悪くないといったときと、だめだといったときとでは、まるでちがった感じで自分にはね返ってくるものです。(本書p116より)

 

このとき大事なのは、たとえ良くないと感じたとしても、まずこれは良いと自分に言い聞かせること。

良いものだと口に出して言い聞かせているうちに、良い側面が見えてきたり、改善しようとする気になったりするのだそうです。

 

不思議なもので、たとえそれほどよいものでなくとも、これはいいとみずからいい、またこれは自分がよくしなければならないといっていると、それがほんとうによく見えてくる。あるいはほんとうによくしなければならないという気持ちが生まれてくる。

(中略)

同じ職場に対しても、はじめからいかんときめてかかるか、いいところだとまず宣言し、まずい点はこれからの努力で改善できるという気持ちをいだいて臨むか、そのどちらかによって、仕事に対する姿勢に天地のちがいが生じてくると思います。(本書p116~p117より)

 

自分が口にする言葉は、周りの人以上に、自分自身が一番聞いていて、刷り込まれていきます。

だから、発する言葉をよく選ぶことが大事なのですね。

 

感情と行動を切り離す

さて、皆さんは発する言葉をどのくらい意識されているでしょうか。

 

私は事業の立ち上げを通じて、一次感情と二次感情を分ける大切さを学びました。

 

何かよくないできごとが起きたときに、嫌な気持ちやネガティブな感情(一次感情)がわいてくること自体は、人間である以上避けられません。

ただ、その感情に流されて反射的にマイナスな言葉を発するのではなく、「大丈夫」、「これは良い」、「で、だから、どうする?」などの生産的な言葉を選んで、感情を選びなおす(二次感情)ように、自分を律しつづけてきました。

 

前向きな言葉を発することで、マイナスの感情と自分の行動を切り離し、次のアクションに移ることができる。

仕事に限らず、日頃の人間関係を良くするためにも効果的な、大切な考え方ではないでしょうか。



偉大な実績をつくられた著者の経験から、経営者である前に、人としての基礎を学ぶこととなりました。

 

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【本】若さに贈る(前編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

今回紹介する本は、故・松下幸之助(まつした こうのすけ)著書、

“若さに贈る”

です。

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※出典:松下幸之助.com|PHP研究所

 

 

パナソニック(旧松下電器産業)やPHP研究所の創設者であり、「経営の神様」と称される偉大な経営者のひとりです。

ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

本書「若さに贈る」は、1966年に初版発行、2014年に新書版として発刊されました。

「青春とは心の若さである」の座右の銘をもつ著者が、これから世の中に出ていく若者たちに向けて記した1冊です。

 

著者の半生からうかがえる職業観や人生観は、時代に関係なく、私たちに大切な学びを与えてくれます。

 

体験をもって知る

家計の貧しさから、9歳のときに単身で奉公に出なければならなくなった著者。

小学校を途中で退学して、火鉢店や自転車店での奉公生活を送ります。

 

同世代が学校に通うのをうらやましく思いながらも、休みなく働き、社会の厳しさをひと足早く経験されました。

でも、15歳で電灯会社に入社するまでの約6年にわたる奉公生活があったからこそ、商売人としての基礎が身について、ありがたいものだったと振り返っています。

 

わたしも九つのときに、この船場の店にはいって少年時代を過ごしたのですから、行きたい学校には行けなかったけれども、その六年間を通じて、学校ではえられない、ひじょうに大きな教育を受けたように思います。それは、商人として立つための基本的な知識・態度であり、基礎となるコツの体得です。(本書p38より)

 

厳しい奉公生活で培われた商売人としての心意気。

だからこそ、少しくらいのことでへこたれない若者になってほしいと、体験(身をもって知ること)を大切にしてほしいと述べています。

 

砂糖は甘く、塩は辛い。それはだれでも知っています。しかし、それは議論したり、考えたりしてわかるのではない。その甘さ、その辛さを知るには、まずひとくちなめてみることです。体験の尊さはここにあります。もっとも、体験といっても、しょせんはそれぞれ個人的なものであって、その体験が、いつでも、どこででも、だれにでも通用するものとはかぎりません。しかし今日、体験を抜きにした、空疎な議論のなんと多いことか。(本書p35より)

 

同じお金でも "ねうち" が違う

また、著者が語るお金の価値について、とても興味深い話があるので紹介します。

 

たとえば、あなたがここに百万円のお金を持っている。あなたはなにか仕事を始めるのに、もう二百万円ほしい。そのばあい、あなたは、先輩かだれかに頼んで借りようと思う。

(中略)

頼まれた先輩は(中略)おそらく、こういうにちがいありません。

「きみは、その百万円をどうしてつくったのか」(本書p74~p75より)

 

手持ちの100万円はどうやって生み出したのかと尋ねられている場面です。

 

このとき、その100万円は誰かからもらったのか、自分が努力して貯めたのかで、相手に与える印象は大きく異なるといいます。

 

「兄からもらったものですが……」

ということだったら(中略)貸してくれるひともあるかもしれない。しかしめったにないでしょう。これがもし、(中略)ぼくは五年間働いてようやく百万円できました、年齢のことも考えて、このあたりで独立したいと思いますので、ということでしたら、同じ百万円でも、そのねうちが大きく上がってきます。二百万円を貸してもらえる率はずっと高くなります。(本書p75より)

 

たとえ金額が同じでも、自分が努力して作り出したお金には値打ちがある。

そして、値打ちのあるお金はさらにお金を呼び込むと著者は強調しています。

 

同じお金でも、そういう形で長年かかってためたものは、簡単にひとから貸してもらったのとは、ねうちがまったくちがう。

(中略)

兄さんからもらった百万円と汗水たらしてつくった百万円。このあとの百万円には、よし貸してやろうと思わせるねうちがある。(本書p73、p75、p76より)

 

地道な精進

約6年の奉公生活。

応援者を呼び込む、お金と ”ねうち” の話。

 

そのどちらについても、著者が大切にしている地道な精進が根底にあるようです。

 

自主独立の精神をもつということはたいせつですが、それには、地道な精進というか、それだけの苦労の積み重ね、独立の準備が必要だと思うのです。長い地道な苦労の積み重ね――それがかえって成功への早道でもあるのです。(本書p74より)

 

これまでに紹介したどの著書でも大切だと書かれている、地道な努力の積み重ね。

「経営の神様」が幼い頃に体得されたその精神が重要であることは、言うまでもないでしょう。



これは先日私が申し上げたことの繰り返しになりますが、効率ばかりに気を取られがちな現代において、これからは効果性(自力が付いているか)が大切だと思います。

 

自らの胆力を鍛えるためにも、地道な精進や努力というものは、昔も今も必要とされているのですね。



次回、後編に続きます。

 

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