ガルシアへの手紙
こんにちは。権藤優希です。
突然ですが、ガルシアへの手紙、という話をご存知でしょうか。
米西戦争の翌年(今から100年以上前)に、エルバート・ハバートという人によって米国のとある雑誌の記事として書かれたものだそうです。
1時間程度で書かれたというこの数ページの記事は、たちまち話題となり、当時の米国の全兵士に配布され、噂を聞いたロシアでも翻訳されすべての軍人に読まれることになりました。そして日露戦争でそのロシア兵を捕虜にした日本軍は、敵国の兵士が全員持っていたものなのですぐに翻訳し、明治天皇の命令によって全軍にそれを配布しました。また、当時の全ボーイスカウトにも読まれたそうです。
このガルシアへの手紙という話を知ったきっかけは、デール・カーネギーの伝記やビジネスマンの父から息子への30通の手紙、という本に紹介されていたからです。
日本では訳者の解説付きで2001年に再び出版されています。
内容は、要約すると以下のようなものです。
戦争中、米国のマッキンレー大統領は早急にキューバ反乱軍リーダーのガルシアという男にある手紙を届ける必要がありました。しかしジャングルに潜みゲリラ戦を展開しているガルシアの居場所を知るものは誰もいません。
困り果てた大統領のもとへある人物から進言がありました。
「それを届けられるとしたらローワンという男だけだ。」
大統領はすぐにそのローワンなる人物を呼び出し、
「この手紙をガルシアという男へ届けてくれ」
と伝えます。
ローワンはそれを受け取り「わかりました。」と、ガルシアへの元へと届けました。
たったこれだけの話です。
ただ、大事なことはローワンが「そのガルシアという男はどこにいるんですか?」といった質問をしなかったことだ、と解説が続きます。
詳しいことは検索するとすぐに出てくるので検索してみてください。
書籍も様々なものがあるようなので気になった方は読んでみてください。
ここからはこの話に対する私の感想です。
この話は仕事の進め方や自主性、能動性に関して学ぶことが確かに多いと思います。
たしかに達成すべき目標や目的だけを告げられた場合、それはどんな意味があるのか、自分がやるべきなのか他に適役がいるのか、どんな報酬があるのか、どういう手段がとれるのか、そういったことが気になることもあると思います。
私もそうです。
しかし、目的を達成することを最優先で動いている場合、依頼をする側からすると上記のような疑問は不要であることがほとんどです。
他にも意思決定すべき事項がある中で、このタスクは任せてもいいと判断して、裁量をもたせて依頼しているからです。
これは経営者として、様々な仕事の進捗を管理するようになってそう考えるようになりました。
ただ、このような仕事の進め方を実践するには、かなりの信頼関係や、依頼をする側の人望が必要だと思います。
依頼を受けた方は、ジャングルのどこにいるかわからない男へ手紙を届けるような困難な内容でも完遂しようとする意気込みが必要ですし、依頼をした方は、それが完了されると信じて任せるという姿勢が必要です。
ひとつこの大統領の依頼に付け加えるべきことで、かつローワンが聞くべきだったことがあるとするなら、「いつまでに」という期限くらいでしょうか。
ローワンのように目標を達成する男になりたいと思いますし、ローワンのような男から信頼される人望のある人間でありたいなと思います。