【本】届け先のわからない手紙、預かります 漂流郵便局 お母さんへ(後編)
こんにちは。権藤優希です。
前回に引き続き、久保田沙耶(くぼた さや)さん著書、
“漂流郵便局 お母さんへ”
を紹介します。
※前編はこちら
前編では、漂流郵便局に届いた、亡き母へ宛てた手紙の一部を紹介しました。
後編では、著者の久保田さんと、漂流郵便局の局長を務められる中田勝久さんの想いをお伝えします。
(前編に掲載したYouTubeにお二人が出演されています。)
できるだけ長く続けたい
香川県の粟島郵便局に45年間勤めたという、86歳(2020年時点)の中田さん。
思い入れのある旧局舎を、自ら買い取って管理されていたそうです。
瀬戸内国際芸術祭の制作のため旧局舎を訪れた久保田さんのお願いを受けて、漂流郵便局の局長に就任。
芸術祭終了後も漂流郵便局を続けたいという想いから、開局から7年以上経った現在も、届いた手紙ひとつひとつに目を通され、大切に保管していると仰います。
「手紙を出しても返事が返ってこないことはわかっているけれど、出し続けたい。書き続けたいんです」。そんなメッセージも多くいただきます。実際、娘さんや息子さんを亡くされた方が、毎日毎日欠かすことなく、行き場のない想いを綴られ、投函されたであろう手紙もたくさん届きます。ご自身の後悔、怒り、悲しみから、天国にいる方への報告や日常の会話まで。書くことで気持ちに整理をつけ、書き続けることで現実と向き合っている。お便りを通して、懸命に前へ進もうとするその過程を感じます。(本書p140~p141より)
想いが重なり、心をあらわす地層ができる
何気ない日常や人との出会いから生まれる言葉を、自身の作品のテーマとして重要視される久保田さん。
漂流郵便局に届いた1通1通の手紙は、太古で例えるならば化石のようなもの。
そして、手紙を書いた人の想いが幾重にも積み重なって、”人の心をあらわす地層” のようになるとお話されています。
ハガキを用意し、そこに収まるよう文章をととのえて、住所と宛名を書いて切手を貼り、ポストへ投函する。ボタンひとつでだれかとつながるSNSに比べ、なんと手間のかかることでしょう。しかしこの手数の多さにこそ、「手紙を書く」ということが現代において通信以外の役割をも果たす可能性があるのかもしれません。
(中略)
ここで大切なのは意思疎通そのものではなく、意思疎通を図ろうとする、その気持ちにあるのではないでしょうか。そしてそれはまだ言葉になる前の、まだ表情にかわる前の、まだ思いにとどく前の、心そのものの様子なのかもしれません。(本書p143~p144より)
大切な誰かを想う人の心。
それを、久保田さんは漂流郵便局という形で表現されたのですね。
人の心は、人の心が動かす
あらためて、私は本書を読み、人の想いの尊さや儚さに触れて、心が揺さぶられました。
伝えたいことがあるのに、伝える人がいない。
行き場のない想いを抱えている方の気持ちは計り知れないものがあります。
そして、手紙に込められた想い、久保田さんと中田さんの想いなど、さまざまな人の想いによって漂流郵便局がつくられていることを学びました。
いつの時代も、人の心を動かすのは人の心。
私も、自分の想いと周りの人の想いを大切に生きていこうと胸に刻みました。
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※ ”漂流郵便局 お母さんへ” はこちら
※前作にあたる ”漂流郵便局” はこちら
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