【本】セッター思考 人と人をつなぐ技術を磨く(前編)
こんにちは。権藤優希です。
今回紹介する本は、女子バレーボール元全日本代表・竹下佳江(たけした よしえ)さん著書、
“セッター思考 人と人をつなぐ技術を磨く”
です。
高校をご卒業後、Vリーグの「NECレッドロケッツ」に入団。
2005年からは全日本代表のキャプテンを務められます。
“世界最小最強セッター”と称され、2012年のロンドンオリンピックでは銅メダルを獲得されるなど、長きにわたって日本のバレーボールを支えた選手です。
本書では、周りを支える喜びを自分の喜びに変える「セッター思考」の重要性と、セッター思考がどのように仕事に活かせるかを、著者のご経験を交えながら学ぶことができます。
「セッター型」の人間は、人と人をつなぐ黒子のようなタイプ。自分から人前に出るようなことはあまりせず、チームみんなの活躍を支える縁の下の力持ちのような存在です。
(中略)
これからはどんな世界でも、セッター型のリーダーのほうが望まれるんじゃないかな、と考えています。(本書p3~p4より)
セッターは、人と人をつなぐ
バレーボールを始めた小学生の頃から、ほぼセッターひとすじで技術を磨かれた著者。
セッターに求められる素質は、ずばりコミュニケーション力だと断言されます。
コミュニケーション力といっても、試合の最中に話をしたり、「いままでやってきたことを信じて、頑張ろうよ!」とみんなに声をかけて励ましているわけではありません。大事なのは、試合のコートに立つまでにいかに信頼関係を築いておくか、なのです。(本書p18より)
セッターは、味方がレシーブしたボールを受けて、エースアタッカーが打ちやすいトスを上げます。
つまり、セッターはチームの人と人をつないで、周りを輝かせるという役割を担うポジションなのだと著者はいいます。
そして、人と人をつなぎ、チームの信頼関係を深めるためのコミュニケーションは、練習がスタートする前からすでに始まっているそうです。
新しいメンバーが加わったときは、チームに早く溶け込めるように話しかけたり、落ち込んでいる選手がいたらひと声かけてみたり……。コートの外でも、セッター思考は必要なんだと感じるようになったのです。
みんなをつなげることで、チームは活きていく。そして、強くなっていく。そんな面白さに気づいたのかな、と思います。(本書p33より)
セッター型リーダーは、人に「任せきる」
周りを活かすセッター思考で大切なことは、周りの人をよく観察し、フォローすること。
全日本代表のキャプテンを務められた著者は、常にチームメイトのコンディションに目を配っていたそうです。
また著者は、経験の浅い若い選手が自信なさそうにしていても、あえてその選手にトスを上げ続けたこともあるといいます。
なぜなら、後輩を強く育てるためには、任せきることが一番だと信じているから。
チームひとりひとりの成長を喜びとするセッター思考のリーダーは、後輩の成長を信じてトスを上げ続けるのです。
バレーボール以外でも、あらゆるリーダーにいえることではないでしょうか。大事な仕事を部下や後輩に任せてみたものの、うまく進んでいるのか気になってしょうがない。だからといって、「人に任せるのは心配だから」「自分でやったほうが早いから」と仕事を任せなければ、個人の成長も、チームのレベルアップも難しくなってしまうでしょう。これはセッター型の思考ではなく、アタッカー型の思考ですね。
部下が成長してくれたほうが、リーダーの仕事もずっと楽になるはずです。ちゃんと任せきることで、相手も自分の役割を自覚できるし、キャリアを積んで自信や実力をつけていけるのだと思います。(本書p118より)
仲間の成長と達成を願う
著者が述べるように、周囲の人を信頼して任せることは、その人の成長を促すとても重要なことだと私も思います。
少し前、私は一緒に仕事をする仲間に対して、あえて「ありがとう!」と「任せる!」くらいしか言わない時期を意識的につくっていました。
任せるというのは、丸投げとは違います。
仕事をお願いする私自身が、他の誰よりも一番に仕事をやり切っていることが前提です。
さらに、もし任せた仕事がうまくいかなかったとしても、仲間のせいにせずに自分が責任を取るという覚悟を持っています。
私自身が最大限のハードワークによって成果を上げることは、もちろん嬉しいです。
ただ、それよりもずっとずっと嬉しいのは、周りの仲間が成長して、新たな目標を達成することです。
著者が唱えるセッター思考は、仲間の成長と達成を願う私にとって、強い共感を覚える内容でした。
後編では、本書後半の内容から、セッター思考の鍛え方についてお伝えします。
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