【本】リンゴが教えてくれたこと(前編)
こんにちは。権藤優希です。
今回紹介する本は、農家・木村秋則(きむら あきのり)さん著書、
“リンゴが教えてくれたこと”
です。
出典:木村秋則プロフィール | AKINORI KIMURA official web site
農業において絶対に不可能とされていたリンゴの無農薬栽培に成功し、書籍『奇跡のリンゴ』で取り上げられるなど注目を集めます。
※書籍『奇跡のリンゴ』の紹介はこちら
農薬や肥料に支えられてきた従来の農業に異を唱え、自然に近い形での農業(自然栽培)の方法を全国各地で指導されています。
本書は、リンゴやいろいろな作物の自然栽培を確立された著者による書き下ろしです。
およそ11年にわたる、完全無農薬のリンゴができるまでの壮絶な道のり。
そして、農業や自然をどのように見つめていらっしゃるのか。
その目で確かめ、その身で体験された著者の言葉ひとつひとつには重みがあり、自然栽培への凄まじい執念を感じずにはいられません。
周囲から批判され、家族をも苦しめたけど
リンゴの無農薬栽培を試みはじめたのは1978年、著者が29歳のときのこと。
最初の2~3年は全くうまくいかず、害虫が大量発生した著者のリンゴ畑を見た近隣の農家から、厳しく非難されたそうです。
世間というものは私を「かまど消し」「ろくでなし」「アホ」と言って罵倒しました。(中略)
この農業をやる前は、友達が「木村どうしてら」「堆肥こういう状態だけど見でけねが」とよく来たものです。そうした友達がだれも来なくなりました。(本書p41より)
試行錯誤もむなしく無収穫が何年も続き、出稼ぎに行っては周囲の人にからかわれる始末。
3人のお子さまが1つの消しゴムを3つに分けて使うような、貧乏のどん底を味わったといいます。
それでも、家族の支えが著者を力づけたようです。
一度、女房に「これを最後にもうやめよう」と言ったことがあります。それを女房から聞いた長女が「じゃあ、今までなんで我慢してきたの」と問い詰めたそうです。
そのずっとあとで長女がこう言ってくれたのです。
「お父さんのやってきたことはすごいこと。答えのない世界でゼロから始めてここまで来た。」(本書p43より)
まだ無農薬のリンゴができる兆しも見られなかった頃のお嬢さんの言葉。
著者は素直にうれしかったと振り返っています。
結果をつくると、周りの反応が変わる
著者が万策尽きたと思った6年目のとき、あるきっかけから土壌改良のヒントを得ます。
そして、遂に11年目にして完全無農薬のリンゴをつくることに成功されました。
すると、近隣の農家の反応がガラッと変わったといいます。
周辺の畑と何も変わらなくなってくると、文句を言われなくなるどころか、私と同じ無肥料、無農薬でリンゴを作り始める生産者が出てきました。(中略)
周りの生産者は木を抜いてくれました。(中略)「西風が吹いても木村のところに農薬が飛ばないだろう」。私の畑を思いやってくれる気持ちが嬉しいです。(本書p23~p24より)
多くの人が応援、協力してくれるようになり、また自然栽培のやり方を教えてほしいという申し出も増えたのだそうです。
条件で人を判断しない
前例がなく、何が正解なのかも分からなかったリンゴの無農薬栽培。
貧しい状況の中、かつ周囲の批判を浴びながらもやり遂げられた著者の執念には、頭が下がる思いです。
私は、メンターから「非常識な結果をつくるためには、非常識な原因をつくる」と教わりました。
周りの人にとっては非常識に見える行動も、それはまだ誰も成し遂げたことがない結果をつくるための材料。
信念に沿って自らがやるべきことを徹底していれば、周囲からの批判は気になりません。
そして、目に見える結果が出ると、一転して人は態度を変えます。
「繁栄は友を呼び、逆境は友を試す」という言葉が示すように、うまくいっているときは協力者が次々と現れるでしょう。
肝心なのは、苦境に立たされているときに協力してくれる人の存在。
苦しいときに支えてくれる人は、その人の結果や条件で判断しているのではなく、その人自体を見て信頼を寄せているはずです。
まだ結果が出ていないときに、著者のお嬢さんのような言葉をかけてくれる人は、どのくらいいるでしょうか。
批判を跳ね除けて、完全無農薬のリンゴという、これまでの常識を打ち破る結果をつくられた著者の姿に感動を覚えました。
私も、掲げている目標を達成するために必要な、非常識な原因を積み重ねていきます。
後編では、著者の農業や自然に対する考え方に注目します。
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