【本】0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方(前編)
こんにちは。権藤優希です。
今回紹介する本は、カーリング元日本代表・本橋麻里(もとはし まり)さん著書、
“0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方”
です。
※出典:本橋麻里Mari Motohashi (@MariMotohashi1) | Twitter
女子カーリングチーム「チーム青森」の一員として、2006年トリノ五輪、2010年バンクーバー五輪に出場。
2010年の夏には、地元の北海道で新チーム「ロコ・ソラーレ」を立ち上げ、2018年平昌五輪で銅メダルを獲得されます。
その後、同チームを一般社団法人化され、現在は代表理事として後進の育成に力を注がれています。
本書は、著者のご経験をもとにチームづくりやコミュニケーションにおいて大切なことを学べる1冊です。
私は特に、新チームの立ち上げのエピソードに感銘を受けました。
主にその内容を中心に、感想をお伝えします。
コミュニケーションの強いチームをつくりたい
トリノ五輪では7位、バンクーバー五輪では8位という結果を残したチーム青森。
全力は尽くしたものの、満足のいく結果ではなかったと著者はいいます。
また、当時の心境を次のように振り返っています。
4年に1度の出場機会を逃すわけにはいかない。
周囲からの期待がプレッシャーとなり、いつしかチームメンバーどうしで意見をぶつけ合うことを恐れ、省かれてしまったコミュニケーションがあった、と。
そして、著者はお世話になったチーム青森を離れ、出身地である北海道常呂町(現北見市)で、新チーム「ロコ・ソラーレ」を立ち上げられました。
ロコ・ソラーレは、「長い時間をかけてもいい。遠回りでも、強いコミュニケーションをつくって、4年に一度に振り回されないグループをつくりたい」という思いで結成されたチームです。(本書p94より)
本音で話すことで起こる意見のズレは、時間がかかっても最後にはポジティブな場所に着地します。強いグループを形成するためには、崩してまた組み立てること。遠回りでも一度、ぶつかること。それを繰り返すほかないと信じました。(本書p82より)
勝敗だけに強く縛られていたチーム青森時代に著者が忘れかけていた「自分はどうしたい?」という気持ち。
この思いが明確になったとき、0からチームをつくる決断をされたのです。
思いに賛同してくれる理解者の存在
ロコ・ソラーレの立ち上げにおいて、スポンサーを探すという課題が立ちはだかります。
ロコ・ソラーレはコミュニケーションを重視し、かつ地元の常呂町に愛されるチームで、勝利は二の次…。
こう説明するのはいくらなんでも正直すぎるのではないかと、不安があったことを著者は打ち明けています。
しかし、そのような著者の思いに共感を示す、ある医師の男性が現れます。
この男性は現在もロコ・ソラーレをサポートされているそうですが、当時、著者にこうお話されたそうです。
「俺は、次のソチ五輪に出て終わり、そんなチームにはお金を出したくない。新しくつくるんだったら、地域に愛され地域を元気にするようなチーム。それになってくれるんだったら喜んで協力させてほしい」(本書p86より)
この体験がもととなり、著者はまっすぐに思いを伝えることで、多くのスポンサーの協力を得られるようになったといいます。
チームビルディングに必要なのはまっすぐに目標を伝えたうえで、それに賛同してくれる理解者なんだと、私は(中略)学んだのです。(本書p87より)
のちの平昌五輪で銅メダルを獲得することになるチームは、何もないところから、著者の率直な思いが源となって生まれたのですね。
まずは仲間をつくる
ある目標を成し遂げたいとき、同じ思いを持った仲間を探してチームをつくることは、とても効果的だと私も思います。
例えば、漫画「ONE PIECE」の主人公ルフィも、まず海賊王になるという目標を掲げて、次に仲間探しから始めていますよね。
思い返せば、私も事業を立ち上げて独立する前は、チームづくりから始めました。
チームづくりで培ったコミュニケーション能力、リーダーシップ、スケジュール管理の能力は、そのまま事業運営に活かせます。
そして何よりも、土台のないところから結果を生み出した自分自身に対して、強い確信を持てるようになります。
カーリングで、0からチームをつくられた著者の信念には、私も心を揺さぶられました。
ゼロは最強です。アイデアと体力さえあれば、何でも生み出すことができる。
0から始めることができれば、理想の10に向けた1をつくれると私は思っています。(本書p9より)
後編では、著者が理想とする人生観に注目したうえで、あらためて感想をお伝えします。
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