権藤優希の読書手帖

株式会社シーマネジメント代表、「ごん×櫻井のモテモテ塾」主宰を務める傍ら、読んだ本を中心に日常を書いています。

【本】ユナイテッドアローズ 心に響くサービス(前編)

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引用元:https://www.amazon.co.jp/dp/4532313058

 

こんにちは。権藤優希です。

今回紹介する本は、丸木伊参(まるき よしみ)氏著書『ユナイテッドアローズ 心に響くサービス』です。


著者はアパレル関連専門紙の記者を経て、40年にわたり小売・流通業の取材や出版業務に携わります。
本書は、著者がユナイテッドアローズに取材をおこなった内容がまとめられており、2007年に発表されました。

ユナイテッドアローズは1989年に創業し、さまざまなブランドを展開する人気セレクトショップです。
お店を訪ねたことがある方も多いのではないでしょうか。


著者は、同社が業績を伸ばし続ける理由として、質の高い接客サービスに焦点をあてています。
店舗で働く販売員たちが、つねに「お客様のために」を心がけ、実践されているといいます。

 

・お客様が試着をしている間に、靴をピカピカに磨く
・お客様ひとりひとりにバースデーカードを送る
・お客様が購入した服をそのまま着ていきたい様子であることを察し、いま着ている服を自宅にお届けするか尋ねる。後日、もとの服が綺麗にクリーニングされて配送される

 

販売員たちによるおもてなしが数多く紹介されており、このような接客に感動したお客様から感謝の手紙をいただくことも多く、それらは全社員で共有されるそうです。


一方で、失敗することもあるようです。
ある幹部の社員は、店長として勤務していたとき、お客様に間違った商品を届けてしまうミスを経験したといいます。
そのときはすぐに代替となる商品を届けるため、首都圏から遠方まで猛スピードで車を走らせたそうです。
「苦情・クレームの対応は買ってでもしろ」と言われるくらい、クレームの内容についても全社で共有して、サービス向上に力を入れる体制がなされています。

 

こうした質の高いサービスを提供できる背景には、社長(当時)の重松理(しげまつ おさむ)氏が商売人として大切にしている理念があるからだといいます。
それらは48ページにわたる経営理念ハンドブック(通称:理念ブック)にまとめられ、アルバイトを含む全社員が携行するそうです。

 

理念について、重松氏はこのように語ります。
『わが社の社会貢献の第一は顧客満足です。店はお客様のためにあり、お客様が常に正しいというスタンスをどんな時でも優先することです。』
顧客満足を心がけていれば、売上はあとからついてきます。』

 

お客様は「これを買いたい」と商品を求めて来店しますが、店舗の販売員たちによる、想像を超えた細やかなサービスを体験することで「あなたから買いたい」という気持ちに変わります。
この付加価値を生み出す源が、理念ブックには詰まっているそうです。

 

どうしたらお客様に喜んでもらえるか。
その心がけが最も大切であると考えているため、したがって接客マニュアルはなく、対応に困ったときは理念ブックに立ち返るそうです。
先に述べたクレームに対する迅速な行動も、理念のひとつである「OPEN MIND(まずは一旦、すべてを受け入れよ)」に立ち返ったゆえの行動だったといいます。

 

すなわち、「何をやるか」以前に「どんな心構えなのか」がとても大切なのだと理解しました。
売上を上げることが命題であるはずの社長が、「顧客満足こそが社会貢献」とはっきり表明する姿勢には、非常に感銘を受けました。

経営を志す私にとって、とても学びの多い内容です。
本書については他にも感想を記したいことがありますので、後日あらためて紹介します。