【本】わかりあえないことから - コミュニケーション能力とは何か(後編)
こんにちは。権藤優希です。
前回に引き続き、平田オリザ(ひらた おりざ)さん著書、
“わかりあえないことから - コミュニケーション能力とは何か”
を紹介します。
※前編はこちら
前編では、
・現代社会で求められる2つのコミュニケーション能力には相反する点がある
・その理由は、「わかりあう」ことを目標とするのか、「わかりあえないけど、共有できる部分を見つける」のかで、コミュニケーションの前提が違うから
という著者の考えをお伝えしました。
では、私たちはコミュニケーションにおいて、具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
話し手はどんなつもりでその言葉を使っているのか
本書の第7章で、著者はクイズと称して非常に興味深い例を示しています。
一部を紹介しましょう。
小学校1年生の子供が、学校から嬉しそうに走って帰ってきて、親に次のように言ったとします。
『お母さん、お母さん、今日、僕、宿題やっていかなかったんだけど、田中先生、全然怒らなかったんだよ』
もしあなたが親だとしたら、子供に何と答えますか。
ヒントは、子供が 「嬉しそうに走って帰ってきた」ことだと著者はいいます。
この子供が本当に親に伝えたかったことは何でしょうか。
嬉しそうに走って帰ってきてまで、
「宿題やらなかったのに、怒られなくて儲かっちゃったよ」
ということを親に伝えたいひねくれた小学校一年生はあまりいない。おそらくその子が、走って帰ってきてまで伝えたかったのは、
「田中先生は優しい」
「田中先生が大好き」
という気持ちだろう。(本書p176より)
子供が伝えたかったのは、田中先生のことが大好きであるという気持ち。
親は、いきなり「宿題はやらなきゃだめでしょう」と言うのではなく、子供の気持ちをちゃんと受け止めて、「田中先生は優しいね、でも明日は怒られるかもよ」と答えるのが望ましいようです。
コンテクストを理解する
話し手がどんなつもりでその言葉を使っているかを、コンテクストというそうです。
先の子供の発言を表面的にとらえると、宿題の話だと思ってしまいます。
しかし、子供のコンテクストを理解すれば、先生に対する気持ち、つまり子供が本当に伝えたかったことにたどり着きます。
コンテクストの重要性は親子に限りません。
例えばホスピスなどの終末医療において、医療従事者たちには、病気を抱え不安を訴える患者やその家族の気持ちをくみ取ることのほうが、薬や治療について詳しく説明することよりも求められるのだそうです。
小さな子供と親。
患者と医師。
表現力に差があったり立場が異なるなど、わかりあえない人どうしのコミュニケーションだからこそ、相手のコンテクストを理解することが大切だといいます。
著者は、社会のリーダーや教育者には、子供など表現が未熟な人のコンテクストをくみ取れる人になってほしいと強調しています。
私は(中略)、論理的に喋る能力を身につけるよりも、論理的に喋れない立場の人びとの気持ちをくみ取れる人間になってもらいたいと願っている。(本書p183より)
「話を聞いている」という姿勢を示す
私も仕事で成果を上げるために、コミュニケーションにおいては、ものごとを前進させることを心がけています。
相手が望んでいることは何なのか。
自分がどのように働きかけたら、お互いに成果に効果的な行動に着地するのか。
そう考えると、確かに相手の言葉の背景にある気持ちや意図をくみ取ることが重要ですね。
場合によっては、最初から相手の意図を完璧にくみ取ることは難しいかもしれません。
まず第一歩として、相手の話を聴いているときにうなずいたり、相手の話をそのまま繰り返す「オウム返し」をすることで、「あなたの話を聴いていますよ」というサインをわかりやすく出すことから始めてみてはいかがでしょうか。
人間関係に終わりはありません。
著者の「コミュニケーションの楽しさは、わかりあえないところからスタートして、少しでもわかりあえたときの喜びにあると思う」という言葉は、胸に強く刻まれました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
※ ”わかりあえないことから - コミュニケーション能力とは何か” はこちら
◆YouTubeチャンネル◆
権藤優希のYouTubeチャンネル
◆ごん×櫻井のモテモテ塾 KIZUNA Online Salon◆
ごん×櫻井のモテモテ塾 │ KIZUNA Online Salon
◆株式会社シーマネジメント HPリニューアルしました◆