権藤優希の読書手帖

株式会社シーマネジメント代表、「ごん×櫻井のモテモテ塾」主宰を務める傍ら、読んだ本を中心に日常を書いています。

【本】〈旭山動物園〉革命 夢を実現した復活プロジェクト(前編)

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こんにちは。権藤優希です。

 

今回紹介する本は、小菅正夫(こすげ まさお)さん著書、

“〈旭山動物園〉革命 夢を実現した復活プロジェクト”

です。

 

参考:

小菅正夫 プロフィール|講演会・セミナーの講師紹介なら講演依頼.com



獣医師、北海道大学客員教授

日本で最も最北端に位置する動物園、北海道・旭川市旭山動物園でかつて園長を務められました。

 

1996年に来場者数が過去最低の26万人にまで落ち込み、一時は閉園の危機にさらされた旭山動物園

ですが、著者をはじめとする多くの関係者が懸命に努力された結果、2004年には過去最高の145万人を記録したそうです。

 

本書には、旭山動物園がこのような ”復活” を遂げるまでのエピソードと、著者の思いが綴られています。



印象に残った内容と感想をお伝えします。

 

予算がなくても、アイデアを出す

来場者数の減少が止まらず、旭山動物園の存続が危ぶまれていた頃。

旭川市から大きな予算がつくこともほとんどないままで、著者はどうすれば来場者数を増やせるかを考えなければならなかったそうです。

 

著者ら動物園のスタッフたちは、必死に知恵を絞ってアイデアを出し、動物たちをより魅力的に見せる展示方法を形にしていきます。

 

いま振り返って、不遇の時期に意味があるとしたら、お金はなかったけれど、動物園についてじっくりと考える時間が与えられていたということだと思う。市から、「予算がついたから、つくりたいものを何でもつくってくれ」と言われて、思いつきでつくったとしても、いまのようにはなっていないだろうなという気がする。(本書p47より)

 

こうして、ペンギン、アザラシ、ホッキョクグマなどの動物たちが生き生きと活動する姿を見られる、当時としては画期的な施設を次々にオープン。

著者たちが必死になって考えたアイデアが、集客アップにつながったといいます。

 

大事なのは、予算の範囲内で、いかに工夫をするかということだ。(本書p89より)

 

共通の認識を持ったら、あとは考えさせる

新しいアイデアを発想するにあたり、著者は動物園のスタッフたちと、ある共通認識を持つことを徹底されたそうです。

その認識とは、「動物園とは何をするところか」という動物園の存在意義についてです。

 

著者は、動物園には次の4つの役割があるといいます。

・動物たちと楽しく過ごす「レクリエーションの場」

・動物たちを保護したい、動物たちの環境を守りたいという意識を育てる「教育の場」

・希少な動物の保護や繁殖を担う「自然保護の場」

・野生動物医学などの「学術研究の場」

 

来場者数を増やすためのアイデアを出す前に、まず最も大切な原則となる「動物園の役割」を、飼育係のスタッフたちと共有する

この原則に基づいて、スタッフたちにもアイデアを考えてもらったといいます。

 

こうした「動物園に携わる者としての基本スタンス」は、(中略)徹底し、確認している。極端にいえば、その基本に関して、飼育係が共通認識を持っていれば、あとはそれぞれの飼育係に考えさせる。それをうまく動物園づくりに生かしていけばいいのだ。(本書p23より)

 

考える、という仕事

本書の内容から、「考える」ということはひとつの大きな仕事であると私は感じました。

 

私は毎朝、具体的なタスクに取り掛かる前に、考える時間を意識的につくっています。

どうやったら目標を達成できるのか。

今日1日の行動計画は、目標に対して効果的かどうか。

考えて、思考を整理してから、仕事に取り掛かります。

 

また、チームで仕事をする場合は、同じチームの人にも考えてもらう場面が出てきます。

そのときは、目的や意図などの重要な事柄のみ共有して、具体的なやり方は各々に考えてもらいます。

 

考えるという行為が人間を人間たらしめる、と言うとやや大げさかもしれません。

ですが、懸命に考えることがその人の成長、さらには組織の成長のきっかけになり得るのではないでしょうか。

 

苦しい状況の中で、動物園の存続を願って必死に考え抜かれた著者や旭山動物園のスタッフの方々には、尊敬の念に絶えません。



後編に続きます。

 

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